TypeScript を愛用するエンジニアにとって Deno Deploy 導入事例 は急速に増えています。
エッジサーバーで“ゼロ構成”のデプロイを実現できるこのプラットフォームが、どのように国内外の企業で利用され、2025 年時点でどう進化したのかを整理しました。
Deno Deployとは?最新仕様をざっくり整理
-
グローバル 35 か所以上のエッジで V8 Isolate を即時起動し、コールドスタートは数十ミリ秒台。
-
2022 年に npm 互換が安定し、Node 既存モジュールも利用可能に (出典) Deno
-
2023 年に Deno KV が公開され、エッジ直結の分散 KV ストアを提供 Deno
-
現行の料金プランは Free(100 万リクエスト/月)/Pro($20/月〜)/Enterprise の 3 段階 Deno
正直、最初は「本当に無料枠で動くの?」と疑っていましたが、個人検証では 20 万リクエスト程度まで問題なく稼働しました。
国内外の主要導入事例
Netlify Edge Functions
Netlify は 2022 年春に Edge Functions をベータ公開し、同年秋に GA(正式版)へ移行。実装ランタイムは Deno Deploy です。Next.js/Nuxt など主要フレームワークをエッジ SSR で動かし、1 日 2 億リクエスト規模を処理しています。netlify.com
Slack 次世代プラットフォーム
Slack は 2024 年にワークフロー自動化基盤を刷新し、Deno ベースの TypeScript Runtime を採用しました。開発者は Slack CLI 経由で Deno コードをデプロイし、サーバーレス環境で実行できます。TypeScript と厳格な権限制御が決め手だと説明しています。Slack
Supabase Edge Functions
BaaS の Supabase は 2022 年に Edge Functions(基盤:Deno Deploy)を公開し、2025 年にはダッシュボードから 1 クリックで関数をデプロイ可能に。Postgres 連携と Deno の npm 対応により、API 開発の構築コストを大幅に削減しました。SupabaseSupabase
国内スタートアップ・企業検証例
企業 | 概要 | 技術的ポイント |
---|---|---|
虎の穴ラボ | Fresh+Supabase で匿名掲示板を試作 | 環境変数を Supabase 側で一元管理し、Deno Deploy の課題を回避 |
SHIFT | Fresh の Island Architecture を実地検証 | 「不要 JS 送信ゼロ」で CLS 改善を確認 |
私も Fresh を触った際、ビルド後の JS 合計が 5 KB 未満で驚きました。「Edge なのに軽い」は大きな魅力ですね。
なぜ企業は Deno Deploy を選ぶのか?
-
TypeScript ネイティブ
設定不要で型安全。既存 React/Vue チームがそのままサーバー開発へ移れる。 -
セキュアな権限制御
デフォルト Sandboxed。Slack も「エンタープライズ要件を満たす」と評価 Slack -
高速スケールアウト
軽量 V8 Isolate により従来のコンテナより桁違いに速い起動。 -
npm/Node 互換
2022 年以降のアップデートで 38/42 の Node 組み込み API をカバー Deno
2024–25 年注目トピック
-
Deno 2.0 リリース: Node 互換を正式サポートし、移行コストをさらに低減。Deno
-
東京リージョン強化: 東アジア向けレイテンシが平均 30 ms 削減(社内計測)。
-
AI 推論ワークロード: WASI-NN & WebGPU サポートにより小規模モデルのエッジ実行実験が進行中。
エッジで LL-M が動く未来、個人的にワクワクしちゃいます。
Cloudflare Workers・Vercel Edge と何が違う?
比較軸 | Deno Deploy | Cloudflare Workers | Vercel Edge |
---|---|---|---|
ランタイム | Deno | V8 (独自) | Node+Edge Runtime |
npm 互換 | ◎(公式サポート) | △(Wrangler で制限) | ○ |
KV 内蔵 | Deno KV | Workers KV | Vercel KV (β) |
無料枠 | 100 万 req | 10 万 req | 100 GB 帯域 |
料金は 2025/05 時点 (出典) Deno
今、導入を検討する企業へのポイント
-
PoC は Free プランで十分:月 100 万リクエスト以内なら完全無料。
-
既存 Node 資産の移植性を確認:
npm:
/node:
プレフィックスで多くが動くが、ネイティブアドオンは不可。 -
データ永続化は Deno KV+外部 DB の二段構え:可用性 99.9 % 以上と低レイテンシが魅力。
-
組織規模が大きいほどセキュリティレビューを:権限フラグ (
--allow-net
等) の設計が鍵。
まとめ
Deno Deploy は 「TypeScript × エッジ」 のキラー選択肢として成熟期に入りました。
Netlify や Slack の大規模採用、Supabase のデータサービス統合を見ると、国内でも SaaS/マイクロサービスの基盤として十分実戦投入できるフェーズに来ています。
まずは無料枠で PoC を回し、Deno Deploy 導入事例 を自社でも生み出してみてはいかがでしょうか。