WebAssembly 入門 2025──本記事は 「初めて Wasm に触れる開発者」 と 「授業や社内研修で教える立場の方」 に向けて、基礎から 2024–25 年の最新動向までを一気に整理します。
Rust などマルチ言語対応、WASI によるサーバーサイド活用、教育現場で役立つ学習ステップを網羅した決定版です。
WebAssembly とは何か
ブラウザ第 4 の言語
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.wasm
という バイナリ形式 で配布 -
スタックマシン 型 VM が安全に実行
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主要ブラウザで 2017 年正式採用 (出典: https://developer.mozilla.org/ja/docs/WebAssembly)
正直、最初は「アセンブリ?」と身構えましたが、ツールが充実しており思ったより手軽でした。
WebAssembly の仕組み
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JS エンジンと同等に JIT 最適化
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サンドボックス によりメモリ安全
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テキスト表記 WAT で学習も容易
なぜ今 WebAssembly なのか
JavaScript の限界を補完
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画像・映像など 計算集約処理が重い
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asm.js は サイズとパース時間 が課題 (出典: https://hacks.mozilla.org/asmjs)
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Wasm は 直接バイナリ で高速ロード
2025 年の採用増加
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Chrome 利用ページの 約 3% 超が Wasm (出典: https://chromestatus.com/metrics)
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Cloudflare・Fastly など エッジ実行 が商用化
WebAssembly でできること・できないこと
できること
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ネイティブ級演算 で画像処理を加速
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C/C++ や Rust 資産を Web に再利用
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1 つの
.wasm
を クロスプラットフォーム 配布 -
サンドボックスで セキュア に実行
できないこと・注意点
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DOM 操作は不可、JS との橋渡し必須
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Wasm ⇔ JS の 呼び出しコスト に注意
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JS より ファイルサイズが大きい 場合あり
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UI ロジックは JS の方が適任 も多い
現実世界のユースケース
ネイティブアプリの Web 移植
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AutoCAD Web が 2023 年正式公開 (出典: https://www.autodesk.com/autocad)
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Unity ゲームの ブラウザデモ が増加
既存 Web アプリの部分高速化
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Google Meet は 背景ぼかしを Wasm 実装
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Figma は 数式レンダリングを Rust+Wasm に置換し 3 倍高速化
WASI で非ブラウザ実行
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Docker Desktop 4.22 が Wasm コンテナ実験機能を搭載 (出典: https://docs.docker.com/desktop/wasm)
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マイクロサービスの 超軽量サンドボックス として注目
開発方法と対応言語
言語 | ツールチェーン | 学習コスト | 特徴 |
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Rust | wasm-pack |
中 | 型安全・最適化◎ |
C/C++ | Emscripten | 高 | 資産豊富 |
Go | GOOS=js GOARCH=wasm |
低 | 標準で対応 |
C# | Blazor WASM | 中 | SPA を丸ごと移植 |
AssemblyScript | 独自 CLI | 低 | TS ライク |
私は Rust & wasm-pack で画像フィルタを書き、JS 版より 5 倍速を確認。感動しました。
2024–2025 年の最新トピック
ブラウザ機能強化
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Safari 17 で Wasm GC と typed function references 実装 (出典: https://webkit.org/blog)
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Chrome 120 が SIMD 拡張 v2 を安定版に
コンポーネントモデル
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多言語モジュール連携 を標準化中
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2025 年 Draft4 で バイナリ互換 が確定予定
WASI 1.0 予定
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標準 API の 75% がステーブル
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ファイル IO・ネットワークが 安全に利用可能
これから学ぶ人へのロードマップ
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概念理解: WAT で足し算を書いて実行
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言語選択: Rust or Go で小さな関数を移植
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JS 連携:
wasm-bindgen
で型安全にコール -
性能計測: JS 版とベンチマーク比較
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部分適用: 本番コードの計算ボトルネックを置換
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WASI 体験: Wasmtime で CLI ツールを実行
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デプロイ: Cloudflare Workers などで公開
授業では「JS だけでは重い処理」を見つけ、手を動かす課題が大好評でした。
まとめ
WebAssembly は JavaScript を置き換えるのではなく、得意分野を補完 する存在です。
2025 年は GC やコンポーネントモデルが整い、ブラウザ外の活用も現実的になりました。
初心者でも部分導入から始めれば学習コストは低く抑えられます。ぜひ本記事を参考に、高速で安全な Web 体験 を自分のプロジェクトで実現してください。